タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

  2006年6月13日


 <本日のツボ127>
    『国と企業の責任』

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<ツボの説明>

  個人の心や身体の健康という問題に対して政府や企業の責任を
 どんどん大きくしてゆくことが良いこととは思えません。

  食べたり飲んだり考えたり、運動したり働いたりすることの内
 容やそのやり方について、会社や国から指図を受けることが幸せ
 なこととは思えないからです。

  あくまでも個人の考えや行動が結果に結びつき、その結果には
 その個人が責任を元ということを大原則にしたい。

  ある社会問題に対して何でもかんでも「国や企業の責任」だけ
 を厳しく追求して対策を求めるということは、個人の責任は軽く
 なるけれどもその分個人の自由な裁量権を放棄することにつなが
 りかねません。


  私は、うつ病や自殺防止の必要がないといっているのではありません。

  私は、非常に身近にいて親密だった者を何人も自殺で失ってい
 ます。そのことが今の私の考え方や生き方に、かなり大きな影響
 を与えているということができます。

  その人たちは、中小企業経営者や商店主、団体の長(責任者)
 といった立場の方々でした。

  また、私自身が行なっているコンサルティングの過程において
 も、うつ症状に悩む経営者のあまりの多さに驚かされています。


  こういったことから感じるのは、「経営者の孤独さ」です。

  一方、「国や企業の責任」を追及する声が求めるのは、ある意
 味「経営者の責任」です。

  大企業ならそれでよいでしょう。しかし、多くの政策が中小企
 業も一律に取り込もうとします。

  なぜなら、企業数でいうと大企業というのは全体の3%程度し
 かないから。残りの約97%は中小企業であり、それを取りこぼ
 すとうまみがないからです。


  この辺のマッチングがはかられないかぎり、どんな政策も効果
 は出ないと考えています。

  このマッチングの問題は、政策にゆだねても解決しないでしょう。

  特に中小企業者の場合は、会社に対して奉仕する度合いが最も
 高い労働者が経営者であったりすることが珍しくないですから、
 会社と労働者という関係を利害相反の関係とは捉えられません。

  しかし、産業を知らずにコメントする側は気楽です。「うつ病
 には仕事をさせるな。休ませろ。病院へ行かせろ」と。

  社員が5人しかいない会社だったら、その者の代わりは誰がや
 るのでしょうか?

  いやいや、大企業においてであっても、いつ休んでも誰も困ら
 ない社員なんて、「健康増進のためXXを励行してください」と
 言っている「安全・健康推進部」の方くらいじゃないですか?

  また、経営者自身のうつ症状は、いったい誰がケアすればよい
 のでしょうか?


  こういうことが現実だから、会社・経営者・従業員が個々の価
 値観や美意識を尊重しながらも有機的に連携して、その上で付加
 価値を生み出す仕組みを産業の側で構築する必要を感じており、
 その実現を支援して行くということを、コンサルティングの基本
 理念にしています。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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