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 <本日のツボ17>
   『目的はなんでしたっけ?』

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<ツボの説明>

  3月末決算が多い日本の中小企業。来年度の計画は作成中
 ですか? もうとっくにできていますか?

  作成する時期はともかくとして、経営者によってその会社
 の年度計画は様々なスタイルがあります。

  中小企業の場合、一番多いのは「そんなものないよ。先の
 ことなんてわからん」というタイプ。

  悪く言うと「その日暮らし経営」的なやり方ですが、この
 手の社長さんは経験が長く、直感的に重要なポイントを押さ
 えた経営をされていることが多いようです。社員数もそれほど
 多くないため、日々の状況に応じて、経験的に的確な指示を
 出し、それが即座に実行される、小回りの効く経営をされて
 いるといえます。

  次に多いのが「目標管理型」とでもいいましょうか、社長
 さんが「来年度は売上2億円を達成するぞ」という数値目標を
 かかげるパターン。

  この数値目標の数字を決めるやりかたには色々あるようで
 すが、営業部門が前年実績を元にたたき台を作成し、それを
 社長さんが改良(たいてい少しだけ増やす)して全社の目標
 として発表する、というパターンが多く見られます。

  もちろん、売上は営業部門が自分たちで決め、生産高や原
 価も、それぞれ担当セクションが目標数値を決定する、とい
 う分業スタイルもあります。

  毎年この時期に、数字で表明される目標値を見て私が指摘
 させてもらっていることは「何のためにこの数値を達成したい
 のか?」という点です。

  会社が一年間活動するに当たっての「目的」とか「理念」
 とか、好きな名前で呼んでいいのですが、社長さんと社員が
 一丸となって成し遂げたい「本当のこと」を気持ちの奥の方
 から掘り出して書いてもらうのです。

  たとえば先ほどの「2億円を達成する」という目標を出した
 社長さん、最初は「きりがいいから・・・」とか言っていまし
 たが、よくよく考えてもらったら「年商2億円!っていえると
 かっこいいから」という本音が出てきました。「なんだ、見栄
 張りたいのかよ?」と突っ込みたいのを抑えて、さらに話を聞
 いたところ、銀行にいろいろと厳しいことをいわれてくやしい
 思いをした、というのがあって、その思いをなんとかしたいんだ、
 というところまで到達したのです。

  結局、毎年銀行相手に苦労したくないという思いは、短期
 借入金を減らしたい、という具体的な目的になりました。

  そこまできたら「一年後に短期借入金を半分に減らす」
 という具体的な目的を表明するのは簡単です。

  この目的を全社員がよく納得することができれば、あとは
 そこから、売上高や利益率といった数値目標を導き出せばよい
 のです。そういう道筋で作成された数値目標は、「なぜ2億円
 やらなきゃならないの?」というような質問を受けることは
 ありません。

  ついでにいうと、目的には「生々しい本当のこと」を設定
 するべきですが、いくら本音でも「社会に貢献する」とか言い
 出すと、あとで数値目標につなげるときに苦労します。「社会
 に貢献する」が本音だったら、たとえば「交通遺児育成基金に
 1億円寄付する」という具体性を持たせるとよいでしょう。

  いずれにしても、全社員が納得し協力し合える目的でないと
 あとの運営が難しくなります。「俺はベンツに乗る」という
 目的を表明するなら、社員が「社長にはベンツくらい乗って
 もらいたい」という気持ちをもっていないと、その後の数値
 目標達成意欲につながらないですよね。

  堀江容疑者がやっていた「あと3年で時価総額世界一の座を
 ゲットするぞー!」というのは、これに社員が「オーっ!」と
 応えていたのを見る限り、完璧な目的の提供であり、決して
 意味のない駄法螺(ダボラ)ではなかったのです。

  「俺はベンツを買うぞ。社員のボーナスは倍払うぞ」でも
 決して悪くはありません。けど・・・、

  社長業、やっぱり簡単ではないですね。

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