タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

 


   <本日のツボ209>
   『依存パターンから脱却せよ2』

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<ツボの説明>

  組織の効率性と組織内人間関係とは無関係ではありません。

  このとき着目するのが、社長と従業員(上司と部下)の間にある
 依存関係です。

  ここでは、この上下の依存関係を4つのパターンに類型化して
 説明します。


  ニつ目は「社長が従業員に依存しているパターン」。


  社長が色々なアイディアを持ち込んで社内に提案しますが、それ
 らのほとんどが定着しません。

  社長が言い出すアイディアが単純な思い付きばかりであり、その
 上、言い出した本人が結果に対して責任を取らないということを
 社員がわかってしまっているからです。

  つまり、放り投げっぱなし社長とそれに対して文句を言わない
 社員という組み合わせです。


  もともと何の成算もなく投げかけられる新しい仕事に対しては、
 社員は「できれば関わりあいたくない」と思いながらも、社長が
 言い出したことなので、面と向かって苦言を呈したり拒否したり
 することがきません。

  しかし、失敗すれば誰かが責任を負わされるので、組織の中に、
 誰もができるだけ「自分はかかわりが薄い」といいのがれが出来る
 程度の関与をしておこうとする、仕事に対して無気力で投げやりな
 態度が醸成されてしまいます。

  言いだしっぺのトップに責任を取るつもりがないのだから、部下
 がこのような態度になるのは当然のことです。


  表立った波風は立たないので、一見良好な関係が構築されている
 かのように見えるのですが、実はこのケースは組織としては一番
 まずい、崩壊寸前の状態といえます。

  そして、こういう組織のトップも「うちの社員(部下)は、言っ
 たことを何にも実行できないんだ」などという問題意識を持って
 いることが多いのです。

  社長の考えたプランは、「自分が考えたんだ」とはいうものの、
 「思いつく」以降の現実的なプロセスはすべて社員に丸投げされ、
 すべてが社員の能力に依存するものとなっています。


  前回説明した「社員が社長に依存しているケース」と見かけが
 よく似ているので混同しやすいのですが、状況としてはこちらの
 ほうがはるかに深刻です。その上、時間をかけて観察してゆかない
 と診断がつかないという、やっかいなケースでもあります。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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