タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

 


   <本日のツボ234>
    『セールスマンの使命』

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<ツボの説明>

  セールスマンの使命は、お客様のかかえている課題を汲み上げ、
 お客様の要望に応えるよう誠心誠意尽力すること。

  といったことを良く耳にしますね。「顧客第一主義」というやつです。

  この考え方は「ある意識」をしっかり持っているセールスマンに
 とっては強力な武器となります。

  一方、ありきたりのセールスマンが愚直にこの「顧客第一主義」
 を貫こうとすると、自社利益を毀損してしまうことが多くなります。


  日本の伝統的文化の中には、「滅私」とか「利他」といった精神
 を崇高なものとして重んじるという価値観が内包されているため、
 「自社のことは顧みず、徹底的にお客様に尽くす」という滅私奉公
 型の顧客第一主義を取ることは、気が弱い極普通の日本人にとって
 受け入れやすい行動様式です。

  なので、お客様のかわりに提案書や社内稟議書のような資料を
 夜遅くまで残業して作成してあげるとか、お店や事務所の改装・
 引越しを休日返上でお手伝いする、などといったことを日常的に
 行なっているセールスマンというのは意外と多いものです。


  一方、お客さんの側にも事情があって、契約や購買に至るには
 「予算」とか「ニーズの優先度・緊急度」といった判断要素が必ず
 介在してきます。

  ということは、いくら滅私奉公的なサービスや良好な人間関係が
 あっても、予算や優先度・緊急度といった条件にマッチしなかった
 場合には成約できない、というのがビジネスの世界では真実である
 ということです。


  優秀なベテラン営業マンの多くは、キーとなる質問をいくつか
 用意しており、それを使って顧客が置かれている状況を冷静に
 分析しています。ここで見ているのは、自社の製品・サービスを
 購入する能力とそのニーズの大きさです。

  つまり、一番最初に「顧客にとっての自社の重要度」を尺度に
 して顧客を選別しているということです。そしてその選別に残った
 顧客に対して、徹底的な滅私奉公型顧客第一主義という姿勢を
 見せてゆくのです。


  冒頭に書いた「ある意識」とは、「顧客を選別する意識」のことです。

  自社をあまり重要視していない顧客に顧客第一主義の態度で接し
 てしまうと、「そこまで言うならもっと安くしてくれ」という要望
 が必ず出てきます。これに応えていたのでは、自社の業績の足を
 引っ張るばかりです。

  セールスマンの使命の第一番目は「顧客を選別すること」。
 二番目が「お客様に尽くすこと」です。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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