タイトルロゴ大山祐史の経営コラム


  2007年7月11日



 <本日のツボ359>
    『仕事は薬にならない』

-----------------------------------------------------
<ツボの説明>

  歌手の華原朋美さん、「薬物依存症から抜けられなくて失業(所属
 事務所を解雇)した」との報道がありましたね。

  気になったのは、解雇を発表した所属事務所のコメントの中にあった
 「 再起に向け、当社としても最善の努力をはらい、彼女にとって『仕事
 こそが最高の良薬』と信じて、今日まで本人を支えて参りましたが、」
 というくだりです。

  それまで病気や対人関係の問題でさまざまなストレスを抱えていた
 者を復帰させたいと願う関係者が「仕事こそが最高の良薬」と言い放って
 しまうのはあまりにも無知で安易です。

  正確な報道はされていないので想像するしかないことですが、彼女の
 場合薬物依存に陥る前段で、うつ病、心身症、または社会不安障害などの
 精神疾患になっていた可能性が高い。

  だとすると、激励したりムリやり仕事をさせるようなことをするのは
 禁物で、静養と治療に専念させるというのが常識的な対応です。

  ところが、この時期テレビに復帰しようとしていた彼女は「朋ちゃん
 頑張りますからこれからも応援してください」と言っているわけです。

  この台詞が自発的なものか台本に従ったものかはわかりませんが、いず
 れにしても頑張っちゃいけない時にガンバってしまい悪化させたと見る
 ことができます。死に至らなかったのは幸運だったと思います。


  芸能プロダクションは所属タレントを出演させてナンボですから、
 「早く復帰して働け」と言いたい気持ちはわかります。

  しかし、精神疾患が疑われる従業員に対して「仕事が最大の良薬」と
 言ってのけ出勤を強いるのは、まずい対応の見本と言うことができます。

  休みがちな従業員に対して、「ふざけんな。出てきて働けコノ」などと
 思わず言ってしまいたくなることはありますが、叱咤激励や仕事に没頭
 させることが薬にならないばかりか、全く逆効果になってしまう病気も
 あること。そしてそういう病気が決して珍しいものではないということを
 覚えておいて下さい。

-----------------------------------------------------
 <推奨書籍「社長の帝王学」>
 どんなに時代が進んでも忘れてはならない経営哲理、リーダーの行動原理
 とは…。混迷の時代だからこそ必須の「人に長たる者」の不朽の行動指針
 を、7章94項目にわたって示唆。将としての器量、人心の掌握、時勢を見
 る眼など、社長に不可欠な識見と人格の磨き方を提示したベストセラー書。

   http://www.jmca.net/books/teiougaku
定価:12,600円(税込)のところ、特別割引価格11,130円(税込)

     アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


   本コラムの内容は、大山祐史によるものであることを明記する
   限りにおいて、引用・転載は自由です。