タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

 


 <本日のツボ184>
   『首吊りの足を引っ張る』

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<ツボの説明>

  「売上が低迷して業績が悪化している。なんとかしなければ。
 このままでは会社が危ない。

  仕方がない。値下げして少しでも売上を伸ばそう。

  そうした結果、注文量が3割も増えた。

  よし。やった。出荷数も3割増しだ。いそがしいぞ。

  でも、ここが正念場。
 連日夜遅くまでまでがんばって、注文どおり納品できた。

  仕入れも増えてきたな。当たり前か・・・。
 そうなると資金繰りもいそがしくなってくるな。

  ああ、いそがしいいそがしい・・・。」

  こうして、考える暇もないほどいそがしくはなるのだが、結局は
 潰れてしまう。


  理由は簡単。

  たとえば、もともと粗利が30%ある商材を扱っていたとしよう。

  売上増を狙って10%値下げすることにした。この瞬間から粗利
 は22%になる。

  ということは、売上金額が135%に増えたときに、ようやく
 粗利の総額が値下げ前と等しくなるということである。

  10%値下げした上で売上を135%にするということは、数量
 ベースでは150%にまで増やさないといけない。

  てことは、販売数量5割増以下では増益にならないということだ。

  売上数量が6割増になるなら、この値下げで利益が6.7%増える。

  ただし、出荷作業の量も6割増し。仕入れにかかるお金も6割
 増しとなる。

  いまの体制でそれに対応することができるのか?


  簡単な算数なのに、この程度のことを考える余裕すら失って、
 「いそがしいいそがしい」といいながら潰れてゆく会社が意外と
 多い。

  「このままじゃヤバイな」と感じたときに値下げに走ることは、
 首吊りを助けようとして、その足を一生懸命引っ張っている姿に
 似ている。


  どうせ潰れるなら、ドタバタ走り回って身体に汗をかいて潰れて
 ゆくよりは、少しは脳みそに汗をかいてもらおう。

    「その値下げで、注文量は6割も増えるのか?」

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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