タイトルロゴ大山祐史の経営コラム



   <本日のツボ219>
    『人事システムとは』

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<ツボの説明>

 1.人材フロー
    人を採用し、適切な配置で仕事に就かせること

 2.評価
    何を成すべきかを明確にし、成し遂げた仕事にどの程度の
   価値があるかを明らかにすること

 3.報償
    評価によって明らかになった仕事の価値に応じて、権限・
   名誉・金銭等を与えること

 4.教育・能力開発
    評価につながる思考や行動の能力を高めること


  人事システムはこの4つの基幹システムから成り、それぞれが
 協調し、会社と従業員双方にとって矛盾なく運用された場合にのみ
 有効に働くことができる。

  2.の「評価」を最大にするために1.で人材配置を行い、4.の様
 な教育研修を行う。その上で評価結果にふさわしい報償が行われる。


  この原則は、営利企業に限らずあらゆる組織に適用される。

  必修科目の未履修問題で揺れている高等学校という現場にも、
 この原則が見事に当てはまる。

  「高等学校学習指導要領」によって高等学校という現場に教育と
 指示を行った文部科学省には、その結果成し遂げられたことを評価
 するシステムが存在しない。

  「保健」や「倫理」といった(大学受験にはほとんど関係がない)
 必修科目の授業を高い水準で執行し、それらの内容をしっかりと
 身につけた生徒を輩出した学校は、何によって評価され、どのよう
 な報償を受け得るのかについて、はなはだ不明確である。


  進学校・受験校と呼ばれる現場の高等学校にとって、評価は有名
 大学への合格者数によって下され、「一流進学校」という名誉に
 よって報償されているのが現実である。

  その上「教育業」というサービス業の顧客は生徒及び親であり、
 その顧客にとって、有名大学合格を目的とした教育サービスには
 高い価値と満足感を感じることができるといえる。

  このように、人事システムの視点で見ても、マーケティングの
 視点で見ても、進学校にとっては「受験科目を優先する」という
 実情の方が「指導要領に従う」よりもはるかに有効な組織運営と
 いうことができるのである。

  こういった組織運営の本質をまったく理解せず、「指導要領を
 守らなかった現場が悪い。教育委員会にも監督責任がある」と言っ
 てのける役人の姿には「またか・・・」と嘆息するしかない。

  「保健」や「倫理」の教育が不要だといっているのではない。
 むしろ非常に重要なものだと思う。重要だからこそ、それにきちん
 と取り組み成果をあげた現場や生徒を評価・報償することが重要だ
 と言っているのである。


  ビジネスマンは幸いにも、無能化した組織を反面教師とする機会
 を与えられている。

  この機会に、評価、報酬 が明確になっていない仕事を推進する
 ような指示や指導・教育が行われていないかチェックしてみよう。

  「経費削減」の旗印の下、「出張を減らせ」とか「外注加工費を削減
 せよ」という指示が出されているなら、その指示を守り経費削減が達
 成された場合、どのような評価が下されるのかを明確化しておこう。

  人事システムとのマッチングを無視した仕事を与えることは、
 会社が役所化するということにほかならない。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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