<本日のツボ272>
『灯台は遠くにあるから役に立つ』
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<ツボの説明>
日本人は「よい人生を歩むこと」に対して少々真面目すぎるの
でしょうか?
職場では理想の上司でありたい。家庭ではよき父であり、かつ
よき夫であることが嬉しい。私の周りにもそういう人が多くいます。
一方で、外資系金融機関のエリートサラリーマンが、白百合学園
出身で美人と評判の奥さんに殴り殺された上、バラバラに解体され
て捨てられたりしますし、実際「いい人ほど早く死んでしまう」と
いうような実感もある。自殺者の数なんかも、ここ数年高止まり
したままです。
理想に向かって無理をし続けているのか、あるいは理想的な姿を
演じているのかわかりませんが、自分が描いた理想が唯一価値の
あるものとなっていて、そこから少しでもはずれてしまうと、そこ
はもう奈落の底と同じにしか思えない、そんな極端な世界観が広まっ
ているかのような現象と思えるほどです。
現実の人生は大海を行くのと同じで、大小さまざまな風や波が
存在しています。昼も夜もあります。
時には海面下の暗礁に乗り上げて身動きできなくなることもあれ
ば、海底から潜水艦が浮上してきていきなり沈没させられるような
ことだって、ないとは言い切れません。
そんな海原を行くには、理想という名の灯台の光はたいへん役に
立ちます。自分が今立っている位置と、進むべき道を示してくれる
からです。
しかし、灯台の光がいかにすばらしいものであっても、ムリして
その灯台にしがみつき、よじ登って光源を見つめたって、役には立ち
ません。
あなた自身があなたの灯台に取って代わることはできません。
ただ、いつも自分が見つめている灯台の光をたよりに進むべき
進路を乗り切ってゆく船は、いつか別の船にとっての新たな灯台に
なることがある。自分では気づかないうちに。
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