タイトルロゴ大山祐史の経営コラム




 <本日のツボ351>
   『ヒューマンリソース』

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<ツボの説明>

  「人事コンサルタント」である以上、ヒューマンリソースの高度化や
 活用というのが経営改善の中核的手法となるのは当然なのですが、それに
 しても日本の産業界の現状は、このヒューマンリソースへの取り組みの
 遅れが目立ちます。

  1980年代、「世界一」に上り詰めた日本の生産性をささえていたのは
 いわずと知れた「ものづくり技術」でした。日本の場合は特にハード面
 でのものづくり技術に優位性があり、国際的な競争に勝利していました。

  この時代に、ものづくり技術の優位性を強化するためにとられた方策は、
 ハード技術に対するさらなる効率化追求(強みの強化)と、ソフトウェア
 技術の開発(弱みの補完)というものでした。

  ハード技術の効率追求はメカトロニクス技術に焦点が当てられ、その
 方面の技術開発に多額の投資が差し向けられます。

  ところが、この時点で「どんなに優れたハードウェアも、それを生み
 出すのも運用するのも人間である。とりわけ、効率的な運用には人間の
 知恵が不可欠である」という点を重視していた人は少なかったのです。

  実はこのとき、凋落のどん底にいたアメリカの企業が必死にやっていた
 ことは、「日本的経営」の研究だったのです。

  さらに狡猾なことに、「日本的経営」を研究・応用するかたわらで、
 自ら凋落の原因となったアメリカ流経営システムを「グローバルスタン
 ダード」と名づけて日本やアジア諸国、ヨーロッパなどに植えつけようと
 試みた。

  これにまんまと乗っかったのは日本だけでした。ごく一部の例外(たと
 えば自社流経営システムをすでに持っていて、海外から流行の経営手法を
 取り入れることにはきわめて後ろ向きなトヨタなど)を除いて。


  このことは、90年代に入って日本の経済が急激に悪化した理由のほんの
 一部に過ぎませんが、この国の復活にはヒューマンリソースを高度化し
 活用するという明確な意思が必要です。

  日本の経営者に求められているのは「グローバルスタンダード」という
 言葉を聞いたら「あやしい」と思う感性と、日本に適し自社に適した
 ヒューマンリソース開発手法、すなわち日本人の価値観に即した人を活かす
 技術とは、どんなものかを考え続ける習慣です。

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