タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

 


 <本日のツボ176>
    『世の中に求められる人材』

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<ツボの説明>

  「人口構造の変化をマーケティングの機会にせよ」

  今は亡き、ピーター・ドラッカーの金言である。

  「イノベーションの機会となる変化は、ほとんどの場合すでに
 起こっている。なかでも人口構造の変化は、ほぼ確実に予測する
 ことができる未来である」


  近い将来確実にやってくる「超高齢化社会」ではどのようなことが
 おこるのだろうか?

  大勢の高齢者をケアするために、介護のための制度や施設が作
 られ、そこで大勢の看護・介護職の人々が働いている、そんな情景
 が容易に想像できる。

  近未来の看護・介護を担う者が、今「世の中に求められている
 人材」であるということができるだろう。


  では、その看護・介護を支える社会の状況はどのようになって
 いるだろうか?

  十分なケアをもって圧倒的多数となった高齢者を支えるために
 は、国自体が豊かである必要がある。

  社会基盤となる国全体の経済に、大きさ・強さが必要だという
 ことである。

  しかし、それを支える現役勤労者数は、増加のめどが立っていない。

  労働力人口の減少に備え、女性や高齢者自身を労働人口に取り込む
 ためのさまざまな施策が打たれようとしているが、今後新たに就労可能
 年齢に到達する若年者の数が、すでにあまりにも少なすぎるのだ。

  よって、労働力人口は中長期的に減少を続ける可能性が高い。


  看護・介護というマーケットは、サービスの受け手の数は急激に増加
 するが、そのコストを支払う者の数は減少してゆくということである。

  現在の子供向け市場で起こっている、「子供の数は減少してい
 るが、孫のために大金を使う祖父母の数は増え続けている」という
 現象の、逆のことが起こる。


  そこへ、「世の中に求められている人材」として投入される看護・
 介護職の者たちはどのような処遇を受けることになるだろうか?

  今以上に過酷な勤務を、負担者の経済力にあわせた低い賃金で
 提供しなければならない、といったことにならなければよいのだが。


  時代ごとに「世の中に求められている人材」は変遷する。

  明治の殖産興業期において、重要な輸出産品であった絹糸を紡ぐ
 ために集められた大勢の女工さんたち。

  太平洋戦争終結直後の産業復興のために傾斜生産方式がとられた
 時代、そのとき時代が求めたのは、炭鉱夫や製鉄所の労務者だった。

  それにつづく高度成長期、中学校を卒業したばかりの農村の子供たちは
 「金の卵」と持ち上げられ、都市の工場へ工員として集団就職して行った。

  ついこの前、あのバブルのころ、理工学部を卒業した者までもが、
 こぞって証券会社に入社したものである。


  基幹エネルギーが石炭から石油に移る過程で、また、工場が次々
 と海外へ移転してゆく過程で、バブルの崩壊で、真っ先に行き場を
 失ったのは、あのとき「時代に求められていた人材」ではなかったか。


  現状に視線を戻すと、看護・介護職は空前の求人ラッシュだという。

  だからこそ、看護・介護職にこれからなろうとする人々は、高い志を
 持ってその職に臨むことが、幸せな人生を送る条件となる。

  経済的な成功や安定に過大な期待を持つことは、あまり得策では
 ないように思われる。

  そもそも金銭欲や名誉欲を動機とする看護・介護職などというのは、
 見るのもおぞましい。

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