タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

  2006年5月23日


 <本日のツボ111>
   『今こそ個人情報』

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<ツボの説明>

  個人情報の流出事件というのがやたらと多く目に付きます。

  また、国勢調査や世論調査の回収率が低下するなど、個人情報
 の利用に対する過剰な拒否反応といったことも注目されています。


  中小企業のなかにも、個人情報保護法というものに過剰反応し
 て、せっかく永年蓄積して活用してきた「お得意様データ」の使
 用を躊躇なさっているケースが目立ち始めています。


  ある化粧品店では、店頭で配る「割引クーポン」の使用時に、
 裏面に住所氏名などの個人情報を記入してもらい、そのお客様に
 工夫を凝らしたDMを送付することで来店頻度やリーピート率の
 向上につなげて繁盛してきました。

  ところがこのお店では、あるお客さんから「こんなところに住
 所や氏名を書かせるのは法律違反ではないか?」という指摘を受
 けたことをきっかけに、この割引クーポンによる個人情報の収集
 とDMへの利用をやめてしまったのです。


  この反応があきらかに誤解であることはお分かりですね?

  個人情報保護法の詳しい解説は省略しますが、簡単に言うと、
 利用目的を明確に伝えておきさえすれば、個人情報の収集とそれ
 を活用した販売促進活動を行なうこと自体は法律違反でも何でも
 ありません。


  個人情報保護に敏感な消費者が増えているのだったらなおさら、
 自社(店)がどういうポリシーで個人情報を集め管理しているか
 とか、どのようなことにのみ利用するか、といったことを「すべ
 てはお客様の利便性向上のため」という観点から整理し、はっき
 りと意思表示することで、かえってお客様からの信用を厚くする
 ことができるものです。


  大企業の場合、こういったことは法務部門がぬかりなく対処し
 ており、ネット通販などのサイトを見ても、法律上必要な事項に
 関してはキチッと網羅されているので参考になります。

  しかし大会社の法務部門がやる仕事というのはどうやら、法的
 に穴がないかどうかということに重点が置かれているようで、顧
 客の視点で読んでいるとつまらない。

  「もっとマーケティングの思考を取り入れて作文すれば良いの
 にな。もったいない」と思うことが多くあります。


  中小企業の場合、法務部なんてものはない場合がほとんどです
 から、柔軟に対応できます。

  大方の消費者というのはタダで入手できる情報が大好きです。

  個人情報を利用することでこんなに役に立つ情報をお客様に提
 供できるんですよ、ということを思い切ってアピールしましょう。
 これが「利用目的の明示」になります。

  そのような情報提供をDMなどで実践することで、法律への対
 応、お客様からの信用の獲得・イメージアップ、マーケティング
 による販売促進効果のアップ という一石三鳥の効果が期待でき
 ます。


  いまこそ個人情報の活用がとても有効です。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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