タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

 


 <本日のツボ116>
   『逃げると決めたらもの惜しみしない』

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<ツボの説明>

  むかし読んだ漫画で(たしか「サザエさん」だった)、火事の
 ときにタンスを背負って逃げ出す場面がありました。

  本当の火事に遭ったときには、タンスを背負ってなんぞいたの
 では到底逃げ切れません。


  映画の世界でも、沈んでゆく船から宝物を持ち出そうとするよ
 うな者は死んでしまうというのがお約束です。


  ビジネスをしていると、「逃げる」決断をしなければならなく
 なる場面に、いつか必ず出くわします。

  商談中の時点で「価格の安さ」にしか関心のないお客さんから
 「逃げる」というのも、逃げる決断の一種です。これはこれで勇
 気が必要だということは、営業をやったことがある者ならだれで
 もわかることだと思います。

  もっと迷うのは、取引が継続中の取引先との関係です。

  「そろそろ手を切らないと危ないな」と感じていても、「もし
 かしたらまだ儲かるかもしれない」という思いがわいてくると、
 逃げる決断を下すのは難しくなります。

  このようなとき、「うまみの大きい仕事だけは残しておいて、
 のこりは全部断れ」などという指示を出す経営者がいます。
  うまみが大きいというのは、利益率が高いとか、量がまとまっ
 ているとか、こちらの手間が小さくて楽だ というようなことを
 いっています。

  こういう決断で得をすることはあまりありません。逃げ出すか
 どうかを判断しなければならない相手というのは、経営的に相当
 苦しい状況にある相手であるわけですから、上記のように扱われ
 るとたちまち行き詰まってしまうのです。

  「うまみの大きい仕事」というのは、相手にとっては「うまみ
 が小さい仕事」であり、断ってしまった「のこりの仕事」の方で
 相手はなんとか利益を出していたわけです。

  結局、この取引先はなくなってしまい、貸し倒れ(回収不能な
 営業債権)だけが残ることになるのです。


  こういった場合、優れた経営者が下す判断は、「今まで以上に
 徹底的にサポートしろ」か「全部断って徹底的に逃げろ」のどち
 らかとなります。


  「事業の撤退」という判断を迫られているようなケースでも、
 同様のことがいえます。

  「もう少しやれるかもしれない」などというようなことを根拠
 もなく考えていると、ほぼ確実に損失は膨らみます。


  これらは、ミエや欲に邪魔をされて必要な決断ができなかった
 ということであり、一見なんらかの判断をしてから指示を出して
 いるように見えますが、実はなんの判断も下していない、決断の
 先送りをしただけの状態なのです。


  逃げるときにもの惜しみをしていたのでは、経営的な判断を下
 したとはいえません。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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