タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

 


 <本日のツボ124>
   『M&Aをどう見るか』

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<ツボの説明>

  売上を上げるにはどうしたらよいか、という問題はどんな会社
 にとっても永遠のテーマですが、手っ取り早い方法もあります。

  M&Aという手法がそれです。


  株式交換による会社の取得が認められたため、自社株の評価額
 が高い企業にとっては、その自社株を用いることで簡単に他の会
 社を手に入れることができてしまう。

  乱暴ないいかたをすると、自社の株券を印刷してやりさえすれ
 ば、現金をまったく用意することなしに欲しい会社を買収してし
 まうことが可能だということです。


  合併してビジネスの規模を大きくした後は、人減らしをして見
 掛けの労働生産性などの指標を改善し優良企業に変身します。

  そのうえで会社そのものを売り払って一時的な利益を得るとい
 う、いわば企業の養殖のようなことができるのです。


  これは、仕掛けた者に利益がころがりこむ仕組みですが、整理
 された従業員にとっては良いことではありません。

  また、最終的に株主になる投資家(会社の買い手)にとっても、
 かならず利益があるという状態ではないことに注意してください。

  売り手は「育てて売る」が前提なので、一番太って見えるタイ
 ミングで売ろうとするからです。

  それに、合併・リストラを繰り返して見かけ上大きくなった会
 社が利益を維持してゆくことは、そうそう簡単なことではないと
 いうのはご想像いただけることだと思います。


  これで堀江さんや村上さんの頭の中身を想像してみるまでもな
 く、世のM&Aブームがなぜおこり、またなぜこれからも続いて
 ゆくのかがわかりました。

  ここには「もともとたくさん持ってたやつが必ず勝つ」という
 強者必勝の理論しかありません。当然ですが全体最適や社会的厚
 生の向上には配慮されていません。


  強いものが勝つというのはアタリマエのことですから、批判す
 るのはまったく意味がないことです。ただ単に「そういう仕組み
 だ」ということを理解していればいい。


  私が支援してゆくのは、断片的ではあるが確かな強みを持った
 中小企業者たちを公平に連携させることにより、その強みを増強
 させることです。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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