<本日のツボ166>
『精神力の使いみち』
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<ツボの説明>
オシムさんという方が、サッカー日本代表チームの新しい監督
に就任して以来、「考えながら走る」ということが新しい日本代
表選手に求められるようになったという。
これは、日本人が「精神力」として認識しているものに対して
の、新しいテーゼだと思う。
苦しい肉体の鍛錬に耐えた者だけが高い精神力を身につけるこ
とができ、勝利を手にすることができる、というのが、日本的な
精神力観とするならば、それは、人間にとって最も重要な精神活
動である「考える」ということを軽視しすぎている。
「無我夢中」という言葉が示すように、考える余裕もなくなる
ほどの肉体的苦痛の中で、通常では成しえないような能力を発揮
するということはあるだろう。
「無我」の境地に達することで、内面的な強さを獲得できると
いうことも実際にある話である。
しかし、「無」に至ることを究極の目的とする求道者の間では、
肉体的苦痛のみをそこへ至る手段とはしていない。
「禅問答」に代表されるように、答えなき問いに対する探求を繰
り返すという、まさに考えに考え抜く精神活動を果てしなく継続
的に行っているのである。
「いそがしい」を連発しながら駆けずり回っているビジネスマ
ンにしても、肉体的な忙しさを仕事の価値の高さであると誤解し
てはいけない。
肉体と脳みそを対等に酷使して成し遂げられた仕事こそが本当
の価値を生み、また、そのことがあなた自身の価値を高める。
したがって、「いそがしい」という言葉を1日10回以上発し
ている暇があったら、トイレにでもこもって、解決すべき問題に
ついて深く深く考える。
考えることによって、何に取り組めば価値を生み出すことがで
きるかが判別できる。
だから、価値を生み出すことができるビジネスマンは、見かけ
上はそれほど忙しそうにしてはいない。
そのかわり、寝ているとき以外は、常に考えている。
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アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史
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