タイトルロゴ大山祐史の経営コラム



   <本日のツボ287>
    『見えざる競合を感じる』

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<ツボの説明>

  皆さんの会社では、どのような会社を競争相手(競合)とみな
 しているでしょうか?

  同じ商品を扱っている会社は当然「競合」ですね。

  ですから、競争戦略を考えるときとには、大方の会社では競合
 他社に対してどのように比較優位に立つかという視点で考えます。

  それから、新規参入が起る可能性なんかも考慮して「先にその
 市場の中で確固たる地位を築き、簡単には割り込んでこられない
 ようにしよう」などと考えます。参入障壁の構築というやつです。

  そして、自社商品の代替品や代替サービスにはどの様なものが
 あるか、という見方を加えてゆきます。

  「ヤカン」という商品に関して、他社のヤカンとの競争ばかり
 考えていたら「電気ポット」に出し抜かれた なんてことになら
 ないよう、自社の商品の中核機能(お湯を沸かす)に対して、同じ
 機能を提供しうるものとの比較優位をどのように作ってゆくかを
 考えます。


  ここまでは一般的な外部環境分析の一部分なのですが、最近では
 これら以外にも思いがけない脅威が現れることがあります。

  たとえば、地道なマーケティングを行なってアメリカ市場で好調
 な販売を続けてきたある自動車メーカーが、ガソリン価格の高騰に
 足元をすくわれる形で危機に見舞われるようなことが起ります。

  世界一のマーケットであるアメリカ市場での地位が大切なので、
 アメリカ向けに開発を行い、アメリカでのシェア確保に精力を傾け
 てきたが、石油メジャーの「自分たちの儲けを極大化させたい」と
 いう思惑によって世界の石油需給が大きく変化し、世界中の市場が
 燃費を気にし始めてしまった。「燃費は二の次」だったアメリカ
 人まで、車に燃料効率を求めるようになった。

  「アメリカのため」「アメリカ中心」で商売を構築してきたのに
 そのアメリカに足元をすくわれてしまった(石油メジャー=アメ
 リカそのものだから)形です。


  昨今の、エネルギーや金属などの天然資源需給環境に見られる
 ような大規模な環境変化が企業業績に影響を与えるといったことは、
 今後ますます顕著になり、しかも予測が困難になってゆくと考え
 られます。

  自動車の話をし出したのでついでにいうと、自動車の機能を
 「移動する」とか「運転を楽しむ」といったものに限定して考えて
 いると、消費者が求める機能が「所有する喜びや見栄」になって
 いることを見落として、高級腕時計や宝石なんかにお客を奪われる
 などといったはなしも、あながち冗談ではないなと思えてきます。


  一見何の脈略もないような情報から様々な連関性を見出し、未来
 予測やマーケティングに活用してゆくためには、それらの情報を
 統合して新たな関係を構築するプロセッシング力が要求されます。


  このような感覚を磨くためには、街へ出て、人のハナシを聞き、
 さまざまなことを感じて、とりとめのない拡散思考を行なってみる
 といったことが訓練になるものです。

  そしてこのような「見えない競合」を感じる能力は、マーケター
 にとって大きな強みとなります。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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