<本日のツボ288>
『組合制度の活用』
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<ツボの説明>
ここでいう「組合」は、労働組合のことではありません。
中小企業団体としての組合のことです。
中小企業組合制度で規定されている組合には、事業協同組合や
協業組合のほか、企業組合、商工組合、火災共済協同組合などが
あります。
昨年この中小企業組合制度が改正され、この4月から施行され
ます。これにより中小企業組合の運営に関するルールが体系的に
整理され、その運営の透明性や効率性の向上につながることが
期待されています。
具体的には
1.役員任期に関する規定の変更
理事については3年から2年に短縮
2.理事による利益相反取引の制限
3.監事・組合員の権限拡大
4.決算書類の作成・承認手続きの厳格化
5.会計帳簿の保存義務の追加
10年間保存が義務化
といった内容です。
この改正により表明された政策の意図は、「中小企業団体といえ
ども、いい加減な運営をしているようではいけない。不透明さや
いかがわしさを排して、中小企業の地位と社会的信用を向上させ
ることに資するものとしたい」ということです。
背景には、バブル崩壊以降一貫して開業率よりも廃業率の方が
高いというわが国産業社会の実情と、団塊世代の一斉定年退職に
より一気に現役世代が減少することへの危機感があります。
中小企業団体というと、業界団体などのようなものを連想される
場合が多いようですが、中には企業組合のように、会社同様に独自
の事業活動を行ってゆけるものもあります。
企業組合は4名の発起人で設立することができ、組合員の人的
結合のみをよりどころとして事業を行う組織です。
このような形態は、定年退職者のように一定以上の知識やスキル
を持った者が、数人で分業しながら新しいビジネスを立ち上げて
ゆくといった試みに向いているといえます。
もちろん、軌道に乗ってくれば必要に応じて株式会社に組織変更
することも可能です。
政府の意向は「起業・創業の取り組みには様々な援助を行う」
というものであり、実際に起業・創業を活性化させることで、
個人にも社会全体にも様々なメリットが生じます。
現存する制度をうまく活用して、現実的な創業モデルを確立
して行けたらおもしろいと感じています。
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アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史
本コラムの内容は、大山祐史によるものであることを明記する
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