タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

  2007年5月8日


 <本日のツボ334>
    『サロンパスと味の素』

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<ツボの説明>

  久光製薬サロンパスのCMが秀逸です。

  「コートウラ編」では、エレベーターに乗っている女性がコート
 を裏返しに着ており、後ろの男性が「君、コートウラ」と声を掛ける。
 コートが裏返しになっていることを教えているのかと思ったらそう
 ではなくて、「いや、甲と裏」とサロンパスのハサミ貼りを推奨。

  「ハの字貼りの男編」では、ハの字貼りの男(唐沢寿明)に腕が
 4本もあって、「フォー」(意味は不明)と言いながら通勤中の
 サラリーマンの首筋と肩にサロンパスを貼り付ける。


  CMの展開自体も面白いのですが、ここではそのマーケティング
 的意味合いに注目してみましょう。


  シップ剤は、足でも肩でも左右に1枚ずつ合計2枚使用すると
 いう使用法が一般的ですが、このCMによって左右2枚ずつ合計
 4枚使うというのが標準的使用法になれば、販売量は一気に倍増
 ということになります。

  「シップ薬とはこのように使うものだ」という常識に変革を起こ
 して販売促進を図ろうという、かなり高い志を持ったマーケティ
 ング手法です。良く考えました。


  これと似たような話で「味の素の穴」の話も有名ですね。

  昭和37年に「味の素調理瓶」が発売されたときに、容器の口が
 大きくなり穴の数も増えました。これによって味の素の消費量が
 急拡大したという「伝説」の手法です。

  それまでは一つ穴容器の「味の素卓上瓶」だけを売っていたの
 ですが、「調理中の味付けにも味の素を使用する」という用途面と、
 「穴の数を増やして一振りでたくさん使ってもらえるようにした」という
 一回当たり使用量の二つの面から販売促進効果があったわけです。


  商品の使途や使用量について「こうやるのがあたりまえ」という
 常識が存在しているとき、その常識を変革する提案を仕掛けること
 が効果的な販売促進となるというケースです。


 ※ここに書かれている「狙った効果」はあくまでも「筆者の見方」
  であり、両製品の製造販売元の見解ではありません。
  メーカーの公式見解については、久光製薬様および味の素様の
  ホームページ等を参照してください。参考ページ↓
    www.hisamitsu.co.jp/healthcare/cm01.html
 http://okyakusama.ajinomoto.co.jp/qa/ajinomoto/

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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