タイトルロゴ大山祐史の経営コラム





 <本日のツボ374>
   『窮地に立つと素地が出る』

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<ツボの説明>

  諦めが早い性分で、窮地に立たされるといつも早々と白旗を掲げて投げ
 出してしまう、という自覚のある人がいました。

  この人は、なかなか成果をあげることができないのは、いつもちょっと 
 苦しくなると頑張りが利かずにあきらめてしまい、踏ん張ることができない
 せいであるということがわかっています。

  そんな「あきらの早い性格」が嫌いなので、苦しくなったときでも
 何とかもうひとガンバリして、少しでもこの性分を変えられるように努力
 するようになりました。


  この人は中年になってから趣味でゴルフを始めたのですが、あるとき
 ゴルフ場で「諦めが早い」という性分がまったく変わっていないことに
 気がつきました。

  第一打目でOBを打ってしまうとそのホールは最後まで集中できず、
 なんとなく投げやりなプレーになってしまいます。

  またコンペのときなども、前半の成績が思わしくないときにはたいてい
 後半で盛り返すことができず、最後まで気合を入れてプレーすることが
 できないのです。

  この人はこの性分にホトホト嫌気が差して、もう趣味もやめてしまおう
 かとさえ思ったくらい落ち込みました。


  しかしよく考えてみると、この「諦めが早い」という性分のおかげで
 仕事でもプライベートでも誰かと徹底的にぶつかるということがなく、
 周りの誰からも頼りにされて、複雑な問題の調整役を任されるような立場
 になっていることに気がつきました。

  自分自身にとっても、全力で最後まで力を出し尽くしたのにうまくいか
 なかったという事態に陥ったことがなく、おかげで徹底的に打ちのめされ
 てしまうような状況にならずにすごせているのはこの性分のおかげかも
 しれないと感じるようになりました。
  逃げることで自尊心を保護することができていたのです。


  人間の素地というものはそうそう変わるものではありません。そして
 窮地に立たされたときには、たいがいその素地が現れてきます。

  ただ、その「いやでも現れてくる素地」がどの様なものであるかを認識
 してさえいれば、それが現れてはダメなときにはなんとか表面上だけでも
 押さえ込むことができるし、日頃努力してそのマイナス面の作用をできる
 だけ小さくするよう心がけることもできます。

  反対に、その素地によって自分が救われていることもありますから、
 その素地が出てしまったときの対処を、自分なりに楽しみながら行うこと
 ができるようにもなります。


  自分の素地にしろ他人の素地にしろ、その性分というものはそうそう
 簡単には変えられないものであることがわかっていれば、そのことを認め
 た上で対応するなり受け流すなりして、自分や他人とのかかわり方にゆと
 りや豊かさ、楽しみといったものが見出されてくることさえあるのです。

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