タイトルロゴ大山祐史の経営コラム




 <本日のツボ381>
  『自社ブランド』

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<ツボの説明>

  中小製造業の多くは自社ブランド品を持っていない。

  組み立てメーカーへの部品提供を行っていたり、組立作業を行う場合も、
 発注元からの指示による相手先ブランド品の組み立て(いわゆるOEM
 生産)である場合が多い。


  そのような会社は「下請企業」と呼ばれるが、下請けであることを自社
 の弱みであると考え、自社で企画・開発から手がけて最終製品を完成させ
 る「自社ブランド品」を持ちたいと考える会社が少なくない。

  「下請け仕事は価格要求が厳しく利益が出ない。高く売れる自社ブラン
 ド品を開発して、デパートで売りたい」などという話は典型的な例だ。

  しかし現実には、

     高めの価格設定 + 百貨店での販売 = 儲かる

 という式は成立しない。


  百貨店と付き合ったことがある方はご承知だと思うが、百貨店という販
 路は何の保障もしてくれない。

  言い換えると、あらゆるリスクがサプライヤ側にかぶさってくるという
 ことである。

  百貨店に限らず売り場面積が限られている小売店は、品切れによる機会
 損失をきらうので、十分な在庫の裏づけがない商品は扱いたがらない。

  しかし在庫をたっぷり用意したとしても、基本的に売れないものは、
 いつまでも売り場に並べておいてはくれない。

  手間隙かけて製造した高額商品も、売れ行きが悪ければあっさりと
 売り場からはずされ、売れ残りはすべて返品される。返品された分の仕入
 れ代金は当然支払われない。


  結果的に、ごくわずかな売り上げのためにバランスシート上の棚卸資産
 の金額が大きく膨らみ、キャッシュフローを悪化させる要因となって
 しまうということが良く起こる。


  「自社ブランド品をデパートに並べたい」という希望は、利益を出すと
 いう目的を実現するための手段であるはずだ。

  多くの会社が自社ブランド品で利益を出せないのは、「並べてもらう」
 ということ自体を目的とした意思決定や行動をとってしまうことにその
 要因がある。

  大切なのは「並べる」作業の前後、すなわち、何を世に出すかという点
 と、いかに継続的な需要を作り出すかという点である。

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     アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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