<本日のツボ388>
『工程能力指数 2』
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<ツボの説明>
このところ工程能力指数 Cp に対する関心が高い。
私のサイトの閲覧数でも、ほとんどの月でこのCpに関するページが
トップにランクされている。
工程能力指数は、モノを製造する過程で発生するばらつきを設計公差内
に管理するための指標である。
Cp = 許容される公差の幅 ÷ 6σ
(σ<シグマ>は、量産品測定データの標準偏差)
という式で算出される。
測定値が正規分布するという仮定のもとでは、実際の量産製品から測定
された標準偏差σが、公差の幅の8分の1まで小さくなったとき、公差の
幅は8σあることになる。
このとき、量産品の実測値がこの8σの中に収まらない確率は、0.0063%
と極めて小さく、この工程の品質実現能力は十分に高いといえる。
(この確率は、正規分布表を参照して求める)
このことから、Cp=8σ÷6σ=1.33 という数値が、一般的な
目標として多用されているのである。
目標を実現する方法は、許容される公差は顧客から与えられる所与の値
(公差を大きくしてもらうことができない)とすれば、量産品における品質管理
項目のバラツキを小さくして、実際の標準偏差σを小さくする以外にない。
作業の精度を高めて、常に同じものを生産できるようにしてゆくのである。
しかし現実的には、Cp=1.33という目標値をあらゆる品質項目に
適用しようとすることはかなりハードルが高い。
(このことは、<本日のツボ376>でも触れた)
実現する標準偏差σを、公差の幅の8分の1ではなく6分の1とした場合、
Cp=1 になるわけだが、このときにこの工程から規格外品(不良品)が
発生する確率はおよそ0.27%となる。
単純に数字を比較すると不良率0.27%と0.0063%とでは40倍もの差が
あるのだが、現実的には、なんでもかんでもCp=1.33を適用すれば
よいというものでもない。
Cpの値を1から1.33に引上げるためには、工程の精度を40倍に引上げ
る必要があるということになるわけだが、それをどの程度のコストで実現でき
るかが問題となるのである。
コストを意識し、費用対効果で考えることと同時に、対象となる品物の
特性も考慮する必要がある。
その品質が人命にかかわるようなものであった場合、当然0.27%の不良
率は高すぎる。
また、1期間の生産量が1000個にも満たない製品と、10万個、100万個
単位で生産されるものとでは、同じ不良率でもその意味合いがまったく
異なってくる。
Cp=1.33 にこだわるのではなく、その製品と顧客にとって最適な
Cp値を導き出して、その値を管理してゆくというのが工程能力指数を利用
した品質能力評価ということなのである。
→<本日のツボ376>『工程能力指数1』も読む
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