タイトルイメージ

 


 <本日のツボ81>
   『自分を殺して他人も殺す』

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<ツボの説明>

  日本人には「あまりでしゃばらず、いつも控えめにしているの
 が美徳である」という価値観があるため、いつも自分の言いたい
 ことを言わずに、なんとなく周りに合わせているという人が案外
 たくさんいるようです。

  ところが、本人は「自分を殺して和を乱さないように気を使っ
 ている」つもりなのですが、あるとき自分のことを周囲の人が、
 「身勝手で冷たい人」などと評価していることを知って、ビック
 リしてしまうことがあります。

  本人にしてみれば「自分の意志をなるべく表に出さないように
 して我慢している。それなのに「身勝手」とはなんという言い草
 だろう」といった思いですので、悲しくなったり腹立たしく感じ
 たりしてしまいます。

  しかし実際は、自分の本当の気持ちというものはなかなか殺さ
 れっぱなしにはなってくれず、どこかで「生きているぞ」という
 主張をしに表に出てきてしまっているのです。

  なにかのはずみで「いつもは我慢しているのだから、そのくら
 いは許してもらえるはずだ」という考えが出てきてしまい、大事
 な仕事があるときに突然休んだり、他の全員が参加している集ま
 りに参加しなかったりといった行動を取ってしまうことがある。

  そうすると、普段おとなしくしているものですから、余計にこ
 のような行動が目立ってしまい、「身勝手だ」などという評価に
 つながってしまうことになります。


  また「自分を殺す」には周囲とのコミュニケーションが希薄で
 あった方が都合がいいため、知らず知らずのうちに周囲と疎遠に
 なり、そのような評価ができあがってしまうということもあります。


  結局、自分を殺しているつもりが他人も殺してしまいかねない
 ような結果になってしまっているわけです。

  だからといって「他人を生かす」ことばかりを考えていても、
 それが本心から出てくるものでない限り、やはりどこかにしわ寄
 せが出てきてしまうことになりかねません。

  「他人を生かす」ことが自分の本当の望みになってくれれば一番
 良いのですが、そんなことは簡単になれるものではありません。
  そうなれないうちはせめて、「自分を殺して他人も殺す」ことがある
 ということを理解したうえで、自分を生かしたり殺したりすることを
 バランスをとりながら行なってゆくのが良いと考えられます。


  およそ何事も、どちらか一方というのは疲れます。またどこか
 に鬱憤(うっぷん)が溜まると、結局他人を傷つけてしまうこと
 につながってしまいます。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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