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 <本日のツボ87>
    『残念ながら実在する』

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<ツボの説明>

  ある中小企業の社長さんに新規事業の可能性評価を依頼された
 ときのこと。

  この社長さん、一番最初にご自身の考えを述べられて「これは
 私個人の思いつきだから、正しいかどうかわからない。キッチリ
 評価して欲しい」とおっしゃいました。

  それから1ヵ月後、我々のコンサルティングチームが出した結
 論は、最初に社長さんが「思いつき」と言った内容と寸分違わな
 いものでした。


  大勢の社長さんの中には、時々このようにビックリするくらい
 優秀な方がいらっしゃいます。

  社長さんだけでなく、組織のリーダーさんの中にこのようなレ
 ベルの知能と判断力をお持ちの方がいらっしゃる場合もあります。


  我々凡人が数人、何回も繰り返し集まっては智恵を出し合い、
 延べ十数時間も掛けて出した結論とまったく同じ結論に、ほんの
 数分考えただけであたかも「思いつき」のように到達してしまう。
  こういう「非常に優秀な人間」というのは世の中に実在します。

  少し残念ですけれど・・・。


  しかし現実的には、こういう人々もコンサルティングを必要と
 しています。

  ひとつは自分の下した結論にたいする補強の意味です。


  もうひとつは、このような人がトップの座にすわっている組織
 でも壁にぶつかることがあるためです。

  それは、どんなに優秀な人物でも個人の能力には限界があるた
 め、その人の能力の限界=組織の能力の限界 になっている場合
 に起こります。そして、特に若い中小企業の場合、このような
 ケースが意外と多いといえます。


  そのような会社では、どんな会議を行なっても社長さんがまっ
 先に結論を出してしまう。しかもその結論が非常に説得力があっ
 て現実的にも効果が高い。

  そうなると、社長さん以外に意思決定の機能が育たないため、
 どのようなプロジェクトでもかならず社長さんが加わらないと話
 が進まなくなってしまいます。

  そのため、社長さんの能力の限界=組織能力の限界 となって
 しまうのです。


  たとえ、3〜4人がかりであろうとも、時間が何十倍もかかろ
 うとも、社長さんが参加しない会議で結論を出す事ができるチー
 ムを作る必要があります。

  このチームが下す結論が社長さんの結論と同じレベルになれば、
 この会社の組織能力は、社長さんの能力+チームの能力 となり、
 業績はふたたび成長カーブを描き始めることができるのです。

  優秀な社長さんがグイグイ引っ張ってくれている会社こそ、
 チームの力を育てる取り組みが重要です。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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