タイトルロゴ大山祐史の経営コラム



 <本日のツボ132>
    『事業継承は難しいが』

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<ツボの説明>

  日本の産業界は小規模企業に支えられています。

  企業数でみると、非1次産業(農林漁業以外)全体の87.2%
 が雇用者数20人以下(卸売・小売・飲食・サービス業は5人
 以下)の小規模企業です。

  そして、この小規模企業の数が非常に速いペースで減少してお
 り問題となっています。

  2001年から2004年までの3年間で減少した企業数は、
 大企業が2千5百社あまりだったのに対して、小規模企業では
 約45万2千社となっています。

  全体の9割近くが小規模企業なのですから、廃業も数が多いの
 はアタリマエということもできますが、そこには小規模企業なら
 ではの問題があります。

  「産業」という一くくりの捉え方で大企業と同列に語ることは
 できないのです。


  たとえば後継者の問題。

  高度成長期に多数の企業が創業されましたが、その多くはいま
 でも小規模企業です。

  仮に、昭和40年に25歳で独立開業した企業主さんだとすると、
 その方は今年66歳になります。

  一方ある民間の調査機関の調査では、経営者が「引退したい年
 齢」と考えている年齢の平均値は64.5歳という数字が出ています。

  わが国産業のかなりの部分が、少なくともここ数年のうちに事
 業を次の代に継承する必要に迫られるとみてよいのです。


  ところが中小企業の場合はここで壁にぶつかります。

  中小企業経営者の過半数(56%)が、後継者の条件として「
 経営能力の優秀さ」を上げています。この数字は「親類・血縁者
 であること」(39%)を大きく上回っており、経営者の多くが
 同族会社であり続けることよりも、会社を順調に存続させること
 を重視していることがわかります。

  ところが、単純に「優秀な幹部・役員に社長の座を譲ればよい」
 というわけにはゆきません。

  先代のオーナー社長が亡くなった瞬間に、会社の所有権という
 問題が発生するからです。会社の株は遺族の何人かに相続されま
 すが、その被相続人たちの経営に対する考え方が、跡を継いだ経
 営者と同一であるという保証はどこにもありません。

  経営者は自分が死んだ後のことを考えたら、社長の座を譲ると
 同時に、自分の持ち株も譲り渡す必要が出てくるのです。


  誰かに譲るということは、1.子息・親族に相続させる 又は
 2.誰か他の者に買わせる のどちらかということになります。

  しかし誰かに買わせるといっても、一般の幹部社員・役職員ら
 はそんな資金は持ち合わせていないし、借り入れするのも難しい
 というのが実情です。MBO(経営陣にいた者が個人で株を買い
 取って経営権を取得すること)は、なかなか現実的ではないのです。

  よって、結局は親族のだれかに株式を相続させる、というのが
 一般的にとられる手段となってしまっていますし、前述した「経
 営能力が優秀なもの」という条件を重視していることもあって、
 適当な親族が見当たらない場合には「自分の代で廃業する」こと
 を考える経営者も少なくありません。


  経営状態は決して悪くないのに、「適当な後継者がみつからな
 い」という理由で廃業する企業数は年間およそ7万社、その結果
 失われた雇用者数は20〜35万人程度と推計されています。


  中小企業の事業継承の問題は非常に難しいですが、雇用を守る
 観点からもなんとか支援してゆかなければならない事項なのです。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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