<本日のツボ135>
『承継と新しい活動を融合する』
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<ツボの説明>
二代目、三代目の経営者から「この仕事はちっとももうからな
いからもうやめたい」とか「なにか違う仕事をしたい」という相
談を受けることがよくあります。
こういった店・会社は、ライフサイクルを見ると事業の成熟期
を過ぎて衰退期にさしかかっている場合が多いようです。
そもそも二代目三代目ということは、少なくとも30年かそこ
らはその事業を続けてきたということですから、創業時からの事
業がまだ成長期にあるということはまずありません。
「もうからないからやめる」というのもたしかに一つの選択肢
といえます。できるだけ周囲に迷惑をかけないやり方で店をたた
むということはそれなりにノウハウと精神力を要する仕事なので、
やるからにはコシをすえて取り組まなければなりません。
私の場合、「たたむ」を開始する前に、「看板は維持しながら
変革をすすめる道が本当に無いのか」をもう一度じっくり考えて
もらうようにしています。
なぜかというと、新しい成長カーブというものは、全く何も無
いゼロからのスタートではなかなか生み出されないからです。
シュンペーターは「馬車は何台つなげても鉄道にはならない」
と論じ、イノベーションにおける前後の技術的断絶を指摘しました。
しかし私は、馬車と鉄道にも技術的な連続性はあると考えます。
いままでやってきたことに何か新しい活動を追加してやること
で新しい価値が生まれてくることがある。これは「創造的破壊」
なんかではなくって、「融合と進化」とでも言うべき変革です。
こういうことを考えるとき気をつけることは、新しい活動とは
全て自分でできることであるとは限らないということです。
他の会社を含めて、社外の資源の利用を選択肢に入れるべき。
同様に、自分にとってはすでに見飽きてしまった自社の活動も、
他社から見れば新しい活動であるということを意識するということ。
新しい成長事業というのは、案外こんなところから生まれて来
ることが多いようです。
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アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史
本コラムの内容は、大山祐史によるものであることを明記する
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