タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

 


 <本日のツボ170>
   『成長のスピード感は麻痺させないで』

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<ツボの説明>

  昨日のツボ、「スピード経営」と関係する話です。

  この「スピード」の意味には、意思決定のスピードの他にもう
 一つ、「成長速度」という意味があります。


  成長志向の経営者の多くは、その成長に対してスピードを求め
 る傾向があります。

  つまり「今年一年間で、売上を何%増やせるか。利益を何%拡
 大できるか」という点が最大の関心事であり、「短期間でどれだ
 け大きくなったか」が成功の尺度であるとする価値観です。


  この価値観は株主の立場からすれば理にかなったものといえま
 す。利益や資産規模が大きくなることは、株主の利益とイコール
 だからです。

  しかし、株主からそのような要求を突きつけられているわけで
 もない経営者が、なぜか「急激な成長」を志向している場面に、
 しばしば遭遇します。

  「なぜそんなに速い速度で大きくなることを求めるのか」とい
 う問いに対しては、規模の経済性などをあげて、「大きくなれば
 なるほど利益率が良くなる」といった考えをベースにした説明を
 されることが多いです。

  ホントは「自己顕示欲」を満たすために大きくなりたいと言っ
 ているだけなんじゃないか、と感じる場合が少なくありません。

  中には、「常に全力で突っ走ってないと、誰かに出し抜かれる
 ような気がする」という理由から、極端な成長志向になられてい
 る方もいらっしゃいます。

  マグロみたいな方ですね・・・。


  で、そういった会社の業績はどうかというと、実際には、売上の規模
 を追求すればするほど利益率が低下するケースがほとんどです。

  量をこなそうとすれば、質の悪い市場、質の悪い顧客との取引
 の割合を増やさざるを得ないからです。


  収益性が悪化したときに、すぐに立ち止まってその原因を考え、
 もとの適正規模に戻れる会社というのは稀です。

  また、良質な市場・顧客だけに標的を絞りながら量的拡大を果
 たす、というのは簡単なことではありません。


  結局、急激に膨らんだものは、破裂するか急激にしぼむかのど
 ちらかに至ることが多いようです。

  ライブドアもダイエーも、時系列に多少の差はありますが、こ
 のような経緯をたどったわけであり、中小企業でも陥りやすい
 パターンであるということができます。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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