<本日のツボ180>
『職務発明』
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<ツボの説明>
会社の従業員が仕事として研究開発を行った結果成し遂げられた
発明を「職務発明」といいます。
たとえ仕事として行った発明であっても、その発明に対して特許
を受ける権利は、原則として発明した人のものとなります。
そこで通常は、就業規則等で、職務発明に関しては特許を受ける
権利を会社に譲り渡すことを定めておく、といった対応をとること
になります。
そのとき、会社は発明者に対していくらかの対価を支払って譲り
受けることとする場合がほとんどなのですが、その対価の額の決め
方が従業員(研究者)にとって納得のいくものでないと、研究に対
するモチベーションが下がってしまいますし、最近ではその金額の
妥当性をめぐって訴訟が起こされるケースも増えてきています。
対価の妥当性については、会社と従業員とで十分に協議し、協働
で規定を作成するといった対応が望まれています。
職務発明に関して、意外と知られていないのが「法定通常実施権」
です。
特許となった発明が職務発明であった場合、事前に譲り渡し等の
規定が存在しなかったために従業員のみがその特許権を取得する
ことになっても、会社には自動的に法定通常実施権が認められます。
つまり、会社はその特許を使って商品の製造・販売等を行って
かまわないのです。
ただし、「専用実施権」ではないので、特許権者(発明者)が
他の誰かにその特許の使用を認めて使用料を受け取ったとしても、
会社はそれをやめさせることができません。
また、会社は、他の会社等にその特許を使用する権利を譲り渡し
て、ライセンス料を受け取るような行為は認められません。
そのような行為は特許権者かまたは、特許権者が認めた「専用
実施権者」だけしか行うことができないのです。
職務発明に対して、会社が自動的に通常実施権を得るといった
ことは、特許以外にも、実用新案や意匠(デザイン)といった他の
産業財産権についても適用されます。
実用新案の場合は職務考案、意匠の場合は職務創作といいます。
これらの場合も、会社は自動的に通常実施権(業として使用する
権利)を得ることができます。
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アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史
本コラムの内容は、大山祐史によるものであることを明記する
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