<本日のツボ194>
『海外戦略』
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<ツボの説明>
在タイ読者の方々より、「大丈夫です」とのご報告を多数拝受
いたしました。ありがとうございます。なによりです。
心配されていたタイバーツの為替相場もたいした影響を受けず、
1ドル/37バーツ+α 程度で高値安定しています。
「高値安定」と書いたのは、この水準は2年ほど前と比較すると
7%ほどバーツ高となっているからです。
2年前は1ドル40バーツ程度でした。
これは、以前は1ドルの輸出売上があれば40バーツ手にする
ことができたのに、今は同じ1ドルの売上でも37.2バーツしか
もらえないことを意味しています。
タイ工場で生産した製品を日本の本社が輸入している場合、7%
のコスト増要因となります。
もともと利幅の少ない汎用品を海外工場で生産している場合、
7%もの為替変動は黒字事業を赤字に転落させるほどのインパクト
を持っています。
原価が7%上昇するのですから、原価率がどの程度かにもより
ますが、事業の最終利益率が売上高の5%程度しかないような事業
では赤字に転落する可能性が高い。
一般に、生産の海外移転というと、「付加価値の低い汎用品を
海外生産に切り替え、コスト低減による利益確保を狙う」という
のが戦略の基礎となっているイメージがあります。
しかし現実には、「低付加価値の汎用品を海外に生産移転する
ことは、事業の赤字転落リスクを背負っている」といえます。
また、「アジア市場では、商品ライフサイクルのタイムラグを
利用して儲ける事ができる」という常識も、今では通用しません。
たしかに一昔前までは、日本ではモデルチェンジで廃盤になった
商品の金型を海外移管し、現地向けモデルとして販売するといった
手法はよく行なわれていました。
しかし、今そんなことをしたら、現地のインターネット掲示板に
「あの会社は俺たちXX人をなめている。こんど発売する△△△は
日本で廃盤にした旧モデルだ。こんな会社はけしからんので、
不買運動を起こそう」などという書き込みをされてしまいます。
このように、ビジネスを取り巻く環境というものは、変化が激
しいものです。
その上、海外の情報というのは、即座に正確なものが入手できる
とは限りません。
既存の常識やイメージを鵜呑みにしてしまうと、海外戦略の方向
性はピントはずれとなってしまいます。
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