タイトルロゴ大山祐史の経営コラム

  2006年9月22日


 <本日のツボ194>
   『海外戦略』

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<ツボの説明>

  在タイ読者の方々より、「大丈夫です」とのご報告を多数拝受
 いたしました。ありがとうございます。なによりです。


  心配されていたタイバーツの為替相場もたいした影響を受けず、
 1ドル/37バーツ+α 程度で高値安定しています。

  「高値安定」と書いたのは、この水準は2年ほど前と比較すると
 7%ほどバーツ高となっているからです。

  2年前は1ドル40バーツ程度でした。

  これは、以前は1ドルの輸出売上があれば40バーツ手にする
 ことができたのに、今は同じ1ドルの売上でも37.2バーツしか
 もらえないことを意味しています。

  タイ工場で生産した製品を日本の本社が輸入している場合、7%
 のコスト増要因となります。


  もともと利幅の少ない汎用品を海外工場で生産している場合、
 7%もの為替変動は黒字事業を赤字に転落させるほどのインパクト
 を持っています。

  原価が7%上昇するのですから、原価率がどの程度かにもより
 ますが、事業の最終利益率が売上高の5%程度しかないような事業
 では赤字に転落する可能性が高い。


  一般に、生産の海外移転というと、「付加価値の低い汎用品を
 海外生産に切り替え、コスト低減による利益確保を狙う」という
 のが戦略の基礎となっているイメージがあります。

  しかし現実には、「低付加価値の汎用品を海外に生産移転する
 ことは、事業の赤字転落リスクを背負っている」といえます。


  また、「アジア市場では、商品ライフサイクルのタイムラグを
 利用して儲ける事ができる」という常識も、今では通用しません。

  たしかに一昔前までは、日本ではモデルチェンジで廃盤になった
 商品の金型を海外移管し、現地向けモデルとして販売するといった
 手法はよく行なわれていました。

  しかし、今そんなことをしたら、現地のインターネット掲示板に
 「あの会社は俺たちXX人をなめている。こんど発売する△△△は
  日本で廃盤にした旧モデルだ。こんな会社はけしからんので、
  不買運動を起こそう」などという書き込みをされてしまいます。


  このように、ビジネスを取り巻く環境というものは、変化が激
 しいものです。

  その上、海外の情報というのは、即座に正確なものが入手できる
 とは限りません。

  既存の常識やイメージを鵜呑みにしてしまうと、海外戦略の方向
 性はピントはずれとなってしまいます。

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 アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史


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