<本日のツボ384>
『事件・事故の真因を理解せよ』
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<ツボの説明>
金銭を介さないで人を使う方法は一つしかありません。
それは、相手の尊厳を守ってやること です。
人は自らの尊厳を守るために働きます。
人並みの生活をする とか 家族を養う といった様なことも、つきつめ
ればそれは、社会人としての尊厳や、夫・父としての尊厳を守るためという
ことになります。
尊厳を守るために必要なことは「自分の存在が認知されている」と実感
することです。
この「自分の存在」は、通常「自分はだれかの役に立っている」という
プラスの実感として認識されます。
よって、人は自分の尊厳を守らせてくれる人を重視し、その人にとって
役に立つことを行ないたがります。
逆に、こういったプラスの実感が得られないとき、人間は自分の存在を誰か
らも認知されていない状況に耐え切れなくなる場合があります。
そのような感情は通常、潜在意識の中に蓄積されますが、潜在意識は何らか
の行動や現象となって表面化しようとする圧力を持っています。認知されて
いないという状況から脱するために、自分や他人にマイナスの影響を与えよう
とすることがあるのです。
それが自分に向けられたときには、病気や事故、自傷事件となって現れ、
他者に向けられたときには、非行や犯罪に結びつきます。
他人の尊厳を守れないリーダーがいる組織では、人が働かないばかりか、
病気や事故、事件が多くなる可能性さえあるということです。
実はココ↑までは<本日のツボ251>『人望とは』からの引き写しです。
会社と従業員の利害が対立している状況では、従業員の尊厳を守ってやる
ことが難しくなります。つまり、労務上の問題が病気やケガ、事故や事件の
発生につながっているのです。
バブル崩壊以降、終身雇用・年功序列・企業内労働組合という三種の神器に
よって醸成される極めて日本的な労使の蜜月関係は影を潜め、企業側がだけが
経済合理性を追求する労務管理システムが台頭してきました。その結果、労使
間の壁は明らかにその厚みを増しています。
うつ病などの精神疾患を含めた労働災害の増加や、あいつぐ食品関連企業に
おける不祥事、ファーストフード店の事件などを例にして検証してみると、その
背景にいびつな労使関係によって毀損した労働者の尊厳という問題点が浮かんで
見えてくることが多々あります。
企業が社会的責任を果たす手段として、コンプライアンスや内部統制の体制
整備を図るのは当然の成り行きですが、表面的な制度整備に留まったのでは
成果は出ません。労務管理のコンセプトを磨き上げ、それに従業員が肯定的に
感応した場合のみ、それらの機能が活きてきます。
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