<本日のツボ56>
『心の健康への関与』
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<ツボの説明>
「電通事件」が結審してからまもなく丸6年が経過します。
電通事件とは、広告代理店に勤務する一サラリーマンの自殺と、
その原因をめぐって、会社に損害賠償を求める遺族と、会社に
責任は無いとする会社が争った裁判のことです。
最高裁まで争われた裁判は平成12年3月24日に結審し、
結局会社側が敗訴。
この判決により東京高裁に差し戻された審理は、直後に高裁よ
り和解勧告がなされ、会社側はそれに従って和解案を提出。結局
同年6月には遺族側との和解が成立しました。
和解と言ってもその内容は、遺族側の全面勝訴に等しい内容で
あり、会社側が最終的に支払った損害賠償金の総額は、
約1億6千8百万円です。
この金額が命のねだんとして高いか安いかはともかくとして、
労働者の過労自殺事案に対して最高裁が初めて示した判決であり、
その内容が全面的に会社側の責任を指摘したものであったために
労働裁判史上画期的であると評価され、また産業界に大きな衝撃
を与えるものとなったのです。
この判決はまた、過酷な長時間労働→うつ病→自殺 という因
果関係の存在を示唆しており、このことはすなわち「仕事のさせ
方次第で労働者を死に追いやることがあり、その場合その責任は
100%使用者側にある」と認定されたことを意味しています。
さらに「使用者は、その雇用する労働者に従事させる業務を定
めてこれを管理するに際し、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷
等が過度に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう
注意する義務を負うと解するのが相当であり、使用者に代わって
労働者に対し業務上の指揮監督を行う権限を有する者は、使用者
の右注意義務の内容に従って、その権限を行使すべきである」と、
会社及び管理監督者(上司)の「労働者に対する心身の健康配慮
義務」にも言及しています。
いまや「うつ病」は20〜30人に一人はかかったことがある
とされているほど、ごくありふれた病気です。
そして「自殺者」の多くは「うつ病」に罹患した状態で突発的
に死を選んでしまっているといわれています。
平成13年:31,042人
平成14年:32,143人
平成15年:34,427人
平成16年:32,325人
これが何の数字かわかりますか?
わが国における、1年間の「自殺者」の数です。
交通事故死亡者数の3倍以上。
あなたの会社が組織として効率よく業績を上げ続け、突然大切
な仲間を失ったりするような悲劇を防止するためには、交通事故
や機械による事故を防止するために安全教育を行うのと同じくら
いか、またはそれ以上に、「労働者の心の健康」に関する認識と
取り組みを強化する必要があります。
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アドバンマネジ経営コラム by 大山祐史
本コラムの内容は、大山祐史によるものであることを明記する
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